夫婦のお金の管理は、夫婦が一定金額を出しあう「分担制」と、2人のお金を全てまとめる「合算制」があり、増加し続ける共働き世帯では分担制が大勢を占めることがわかりました(ご参考:令和時代の「夫婦のお金」のいま)。
管理方法は大きく3つに分類できますので、それぞれの「内容」「メリット・デメリット」「どういう夫婦・カップルに合うか」「どう実現するか」などを、詳しくご紹介していきます。
夫婦のお金の管理方法は大きく3種類
夫婦のお金の管理方法は「分担制」の2パターンと、「合算制」の1パターンの、大きく3種類に分けられます。
OsidOriのユーザーさまは結婚前の同棲〜結婚5年目が最も多い層になりますが、管理方法は以下の構成となっています。
【OsidOriユーザーさまの管理方法】
・分担制_定額出し合い型:49%
・分担制_支払い担当型:21%
・合算制:30%
※出典:OsidOriユーザー様のサンプリングデータより(2020年)
1.定額出し合い型(分担制)
夫婦が一定金額を出しあって家計管理をする「分担制」の1つめは、『定額出し合い型』です。
●定額出し合い型(分担制)とは
事前に決めた金額を夫婦の「共有口座」や「共有財布」に入金して共有費用(住宅費など)を支出し、出し合った残りのお金は個人の口座に残します。これにより共有費用を互いに負担しながら、個人的に購入したいものは個人で支出できます。
(例)
お互いに12万円ずつを共有口座に入金し、その合計24万円から共有費用(家賃、光熱費、食費など)を支払います。
●メリット・デメリット
メリット
- 2人のいずれかが個人の経済的な自立やプライバシーを重視する場合、このモデルにより、共有費用を簡単に管理・支払いながら、個人の独立性を維持できます。
- お金を何に払っているのか(一緒に外食するのか、自分1人で外食するのか)、どこのお金から払っているのか(共有支出と個人的な支出)、を識別することが簡単です。 夫婦で収入が多い方が多めに出し、少ない方が少なく出す等の負担金額の調整が容易です。
デメリット
- お互いに個人の資産を共有していないため、家族全体の資産を把握しにくいです。住宅ローンを組むときに、世帯としてあまり貯蓄がなく困るということも。
- 個人が管理するお金を残すことを、意思統一できている必要があります。一方がそうでない場合、あるいは信頼関係に影響する場合があるかもしれません。
●どういう夫婦・カップルに合うか
同棲、婚約、結婚しているカップル、それぞれで利用できます。
分担制に共通して、同棲開始時や結婚初期のようにこれから2人で新しく管理を始めるタイミングによりフィットします。独身時代にはそれぞれが完全に経済的に独立していましたが(お金は全て自分のもの)、2人の生活が始まるにあたって共有費用を各自が負担しながら、一定の経済的な独立性も保てるため適用しやすいためです。
同じ分担制でもこちらの「定額出し合い型」の方が、共有費用が大きくなってきた場合に対応しやすいでしょう。
●どう実現するか
- 家賃、外食費、旅行費、保険料などの共有費用を見積もって、毎月の目標予算を設定します。そうすることで、二人でどのくらいの費用を負担しなければならないかがわかります。
※過去数ヶ月間のあなたの支出習慣を見ることは、毎月一緒に使う金額の見積もりを得るのに役立ちます。OsidOriに支出が登録してあれば、いつでも支出パターンを見ることができますし、もちろん予算設定機能も備わっています。
- 次に、2人それぞれが共有費用にどれだけ貢献するかを決めましょう。夫婦によっては、収入の割合(例:手取り収入の70%)を拠出することを選ぶ方もいれば、金額(例:月20万円)を選択する方もいます。
- いくつかの共有口座を作りましょう。貯蓄口座、生活費口座の2つを準備することがオススメで、それぞれに決まった金額を入金しあいましょう。
- 管理を楽にする方法としては、共有口座にひもづくクレジットカード・デビットカードを持つと便利です。共有費用をそこで支払えば、後で行う面倒な夫婦間精算を防げます。
- それぞれの家計への拠出額が決まったら、家計の自動化を図りましょう。毎月の給料日に、共有の貯蓄口座と普通預金に定期的に振り込むように設定しましょう。
- 月に一度、パートナーと一緒に毎月の支出を確認し、必要に応じて毎月の拠出額を調整しましょう。
2.支払い担当型(分担制)
2つめは「分担制」の『支払い担当型』です。
●支払い担当型(分担制)とは
『支払い担当型』は、家庭の費目ごとに担当を決めて担当者が出費をします。このモデルは夫婦で「共有口座」や「共有財布」を持たずに、それぞれが担当分を支払い管理するモデルです。
(例)
夫が「家賃」「水道光熱費」を支払い、妻が「食費」を支払う。
●メリット・デメリット
メリット
- 2人のいずれかが個人の経済的な自立やプライバシーを重視する場合、このモデルにより、共有費用を各自で負担しながら個人の独立性を維持できます。
- お金を何に払っているのか(一緒に外食するのか、自分1人で外食するのか)、どこのお金から払っているのか(共有支出と個人的な支出)、を識別することが簡単です。
- 夫婦で収入が多い方が多めに出し、少ない方が少なく出す等の負担金額の調整が容易です。
デメリット
- 費目を分担して支出する場合は、家族全体の支出を把握しにくいことも。いずれかの担当分で割高な出費があっても、それに気づけないことも。
- お互いに個人の資産を共有していないため、家族全体の資産を把握しにくいです。住宅ローンを組むときに、世帯としてあまり貯蓄がなく困るということも。
- 夫婦の支出が複雑になってきた場合、どちらが何を担当するかが煩雑になり管理が大変になることも。
●どういう夫婦・カップルに合うか
分担制「定額出し合い型」と同様に、同棲、婚約、結婚しているカップルそれぞれで利用できます。2人の生活の共有費用を各自が負担しながら、一定の経済的な独立性も保てるため、2での生活がこれから始まる場合や結婚初期には適用しやすいでしょう。
ただ、同じ分担制でもこちらの「支払い担当型」の方は、共有費用が大きくなってきた場合(ex.子供の教育費用など)に対応が難しくなるかもしれませんので、その際には管理ルールを話し合うことをオススメします。
●どう実現するか
- 共有費用(家賃、水道光熱費、ガソリン代など)をリストアップし、それらの担当を決めましょう。
※OsidOriを使えば誰がいくら何に支払ったのかを見える化することができますので、どちらがいくら共有費用を支払ったのかを自分で集計する必要はありません。 - 担当を決める際には、シンプルに50%で折半することを選ぶ方もいれば、収入の割合(例:手取り収入の70%)に応じて担当分けする方もいます。
- 支払いは各自の口座・クレジットカード・現金から支払われますので、支払った証拠となるレシートなどをしっかりと取っておきましょう。レシートやカードの利用明細の共有費用を支払った箇所を写真で撮り、メッセージアプリで共有してもいいかもしれません。
※OsidOriを使えば、クレジットカードの特定の利用明細”だけ”をパートナーに共有することができます。プライベートな個人画面に個人クレカを登録しておき、クレカ明細の中から共有費用(ex.家賃)の明細を選び、2人で見る家族画面に表示することを選択すれば、”選択したその明細だけ”を共有することができます。
3.全て統合型(合算制)
3つめは『合算制』です。
●全て統合型(合算制)とは
2人の収入を一度全て合算して家族のお金としてまとめ、そこから共有費用の支出や各自のお小遣いを割りあてます。収入支出や資産を全て一緒にするモデルです。
(例)
夫25万円、妻25万円の収入をまとめて50万円にします。そこから共有費用を支出(家賃、光熱費、食費など)し、各自3万円等のお小遣いを支給します。
●メリット・デメリット
メリット
- 夫婦のお金はひとつのものとして扱うため、夫婦の予算を立てるのがずっと簡単になります。
- 自分やパートナーが何にいくら使っているのか、完全な透明性が得られます。
デメリット
- 共働き世帯が主流になった現在、それぞれの経済的な独立性を担保できません。
- お金の管理方法について完全に意見が一致していない場合、衝突の原因になるかもしれません。
●どういう夫婦・カップルに合うか
結婚している、特に子供がいる夫婦にオススメです。
新しい家族の誕生に伴い、支出が増えるのに対し、あるいは育休で一定期間収入が減るかもしれませんので、2人全体のお金を厳密に管理したいタイミングには良いです。例えば、子供が生まれる前は分担制で管理し、育休期間は合算制、そして仕事復帰で収入が戻った後はまた分担制に戻る、といった臨機応変なスタイルの夫婦もいらっしゃいます。
他方で、同棲しはじめのカップルには、お金を完全に統合するこのモデルはまだ早すぎるかもしれませんので、オススメはしにくいです。
●どう実現するか
- 夫婦のお金をまとめる銀行口座を準備しましょう。新しく開設してもいいですし、どちらかの名義の使用していない口座をあてても良いでしょう。
- 貯蓄口座と生活費口座は分けてもつことをオススメします。1つの口座だけの場合、貯金額が正味でいくらあるのかが見えにくいですし、あるいは生活費がギリギリの月には貯蓄分に手をつけてしまいかねません。
- 銀行口座を持ちたくない場合は、家で現金管理することもひとつの選択です。貯金は「タンス預金」し、生活費は封筒やファイルで管理するケースもあります。ただし貯金額が大きくなると災害や盗難などに紛失リスクがありますので、銀行に預けることをオススメします。
- 管理方法が決まったら、自動化をしましょう。それぞれの給与口座から、家族の口座へ振替を設定すると便利な上、振込手数料の節約にもなります。
番外編
番外編として、『合算制』の中の特徴的なモデルもご紹介します。
●片方の収入で生活モデル
片方の収入だけで生活し、もう片方の収入を直接貯蓄に充てるという設定です。
(例)
夫30万円、妻30万円の場合、夫の収入で毎月の生活費と各自のお小遣いをまかない、妻の収入は全て家族の貯蓄に回します。
●メリット・デメリット
メリット
- うまくいけば、資産(貯蓄額や資産運用額)を積み上げるためにとても効果的です。自分たちの目標や退職後の生活に向けて大きく前進することができます。
デメリット
- 家族のライフステージが変わり出費が増加すると(ex.お子さんの出産等)、片方の収入だけでまかなうことは難しくなるかもしれません。
●どういう夫婦・カップルに合うか
結婚しており、まだ大きい支出がそれほどない、子供がいない〜子供が未就学児の夫婦にあいそうです。
うまくいけばこの期間にある程度まとまった貯蓄ができるでしょう。 家族の支出が増えてくるタイミングでは(子供が大きくなり教育費用が増えるなど)、片方だけの収入では生活できなくなるかもしれません。
他方で、同棲しはじめのカップルには、お金を完全に統合するこのモデルはまだ早すぎるかもしれませんので、オススメはしにくいです。
●どう実現するか
- 夫婦のお金をまとめる銀行口座を準備しましょう。新しく開設してもいいですし、どちらかの名義の使用していない口座をあてても良いでしょう。
- 貯蓄口座と生活費口座は分けてもつことをオススメします。1つの口座だけの場合、貯金額が正味でいくらあるのかが見えにくいですし、あるいは生活費がギリギリの月には貯蓄分に手をつけてしまいかねません。
- 銀行口座を持ちたくない場合は、家で現金管理することもひとつの選択です。貯金は「タンス預金」し、生活費は封筒やファイルで管理するケースもあります。ただし貯金額が大きくなると災害や盗難などに紛失リスクがありますので、銀行に預けることをオススメします。
- 管理方法が決まったら、自動化をしましょう。それぞれの給与口座から、家族の生活費口座と貯貯蓄口座へ振替を設定すると便利な上、振込手数料の節約にもなります。
「夫婦のお金の管理」でおさえたいポイントは?
夫婦のライフステージや支出入の状況等により異なるため一概には言えませんが、参考にしていただけそうなポイントなどをご紹介します。
管理方法を決める前のポイント
話し合って決めましょう
- 将来のありたい姿(どんな家族でありたいか、どんなことをしたいか)を話し合いましょう。そして、そのために何にお金をかけたいか(趣味の外食や旅行はたくさんする、貯金をしておく等)、を話し合ってみましょう。それらの方向性が決まれば、何を共有費用にするかなどの細かい管理方法を決めていけそうです。
個人のお金のプライバシーは守ることをオススメします
- 各自が働いている共働き世帯が多い今、各自のお小遣いの範囲で買えるような額の買い物(コスメなどの化粧品や、音楽レコードなどの趣味の支出など)は、全てパートナーに報告しなくても良しとすべきです。重要なのは「家族のお金」を両者がしっかり把握しておくことですので、あまり窮屈にならないようにすることがオススメです。ただし、自分のお小遣いでも少し高額な買い物は(例えば3万円以上などを取り決めて)パートナーに共有しておくと、いざこざ防止を期待できると思います。
管理方法に絶対はありません
- それぞれの管理方法に絶対はなく、一長一短です。夫婦・カップルにとって最適な管理方法は違いますし、またライフステージの変化により変わってくることもあるでしょう。そんな時は話し合って最適な管理方法へスイッチすればいいだけですので、2人で柔軟に対応しましょう。
管理方法でおさえるポイント
両者がすぐにアクセスできる状態にすること
- 家族のお金は夫婦で把握しておくべき大切なものですので、確認したいときに両者がすぐにできる状態にあることが重要です。メインで管理していない方が気になった時に、相手にいちいち言わないといけないと、確認することに気が引けてしまうかもしれません。共通の場所に家計簿を置いたり、家計簿アプリやパソコンで両者が見られる状態にしておきましょう。
定期的にお金の会話をすること
- お金の話はなかなか進んでしにくいものだと思いますので、定期的にお金の話をする場を設けることがオススメです。例えば、「毎週末」や「毎月最終週の週末」などに、今月の収支を振り返ったり、今後家族でやりたいことなどの議題で、お金の家族ミーティングを開くことにしてみては。ワインを飲みながら、リラックスしながらはいかがでしょう。
主役は2人であること
- 例えば家計簿アプリをつける場合、入力はどちらかがメインで行うことも少なくないでしょう。ただし、あくまで2人のお金のことは2人とも主役です。忙しい際はパートナーに管理を負担してもらっても良いですが、支出の増減などの責任は一緒に負いましょう。もちろん、幸せも2人で一緒に味わいましょう!
さあ、2人でお金の管理をはじめよう
同棲時代、結婚後直後、妊娠・出産時期、子育て期間、住宅の購入時など、ライフステージによって家庭の支出額は変わりますし、育休などで収入額も変動するでしょう。まずは今の自分たち夫婦に合いそうな管理方法を試し、使い勝手やライフステージの変化によって柔軟に調整していくことが良いでしょう。
何よりも大事なのは、2人で話しあって管理方法を決め、チームとして同じ方向を向くことです。自分がOKでもパートナーが納得していない場合は、いずれ家族のお金の扱い方について無用ないざこざが生まれるかもしれません。
「家族のお金を二人が把握できており、未来の家族のために貯蓄や資産運用などの準備を進められている状態」を目指し、実行中の方は気づいた点を取り入れていただければ幸いですし、これからはじめる方は参考にしていただき、まずはやってみましょう。